東京都BCP策定支援事業 企業事例: クラスメソッド株式会社
クラスメソッド株式会社はリッチインターネットアプリケーションをはじめとしたIT情報システム開発をおこなう企業です。このたび東京都BCP策定支援事業の一環としてBCPの構築に取り組まれました。その経緯について、代表取締役 横田聡氏にお話をお伺いしました。
| 代表取締役 | 横田 聡 氏 |
|---|---|
| 管理部 部長 | 魚見 賢太郎 氏 |
| 管理部 | 石川 直樹 氏 |
| 開発部 | 稲毛 透 氏 |
| <ニュートン・コンサルティングメンバー> | |
| 代表取締役社長 | 副島 一也 |
| コンサルタント | 小山 隆 |
| コンサルタント | 片岡 万利子 |
ユーザー目線のシステム開発企業
-事業内容を教えてください。
当社は主に企業のIT情報システムを構築するサービスを提供しています。得意とするのはユーザーの使い勝手の良いアプリケーションの開発で、要求分析から設計、実装、導入までの一貫したシステム開発をおこなっております。そのため、競合はシステム開発会社だけでなくデザイン会社などまで含まれます。
-今までの防災対策を教えてください。
社内に防災セットがあるくらいで、特に防災対策といったものはおこなっておりませんでした。ただ、ISMSを既に取得しておりますので、その範囲におけるBCPには取り組んでおりました。
社内の仕組み整備の一環としてBCP
-今回BCP構築に取り組まれた理由を教えてください。

クラスメソッド株式会社
代表取締役 横田 聡氏
昨年豚インフルエンザが流行した頃からBCPの必要性は社内では議論されていたのですが、なかなか取り組むまでの決断ができずにいたところ、今回東京都の方で支援事業をおこなうとの新聞記事を読み、早速申し込みました。このきっかけがなかったら、2、3年経ってもできていなかったのではないかと思います。そういう意味では大変感謝しています。
当社は現在創業7年目で、ちょうど社内の様々な仕組みを整備しようとしている段階です。マネジメントシステムに限らず人事考課や福利厚生など、会社がより長く発展・継続するために必要なものを順次導入しているのですが、BCPもその一環として認識しています。
以前ISMSを導入した際、全くの素人が独自で作ってもうまく作れないし、ましてや社内に定着させることは難しいだろうということでコンサルティング会社を利用したのですが、数年経って内容も磨かれ定着してきているので、今回もコンサルティング会社の協力があれば同様に進められるだろうと考えました。
守るべきはお客様のデータと社員のノウハウ
-策定されたBCPの内容を教えてください。
今回当社は地震に対するBCPを策定しました。水害は場所柄あまり影響がないと考え、インフルに対しては今後テレワークなど自宅でも勤務ができるような仕組みを導入する予定なので、そちらでカバーできると考えたからです。
当社で特に重要な資産は、お客様からお預かりしているデータと、個々の社員が持っているノウハウです。今回の対策では、この2つをどのように守るのか、どのように復旧するのかということを考えました。
予防・低減策としてはバックアップ方法を見直したり予備サーバーを耐火金庫に保管したりなど、そもそもの保全と何か起きた際にも早期に復旧できるような体制作りを検討しました。
また、地震が発生してからの初動対応としては、社員はまずは自らの生命を守り、それから状況を正しく把握する、会社は早期に対策室を作り具体的なアクションを社員に指示していく、というプランを立てました。具体的には、4日目から事業の70%を回復する、という目標を実現するためのアクションをとることになります。社内で特に重要な4つの部門について被災シナリオに基づく被災状況に応じた対応を立てました。
| 対象事業 | システム受託開発事業 |
|---|---|
| 対象リスク | 地震 |
| 被害シナリオ | 被災機器:サーバー、PC(50%)、ただしバックアップデータは無事 被災人員:PM・PL 3名/ PG 30% / システム管理者1名 2日目からオフィス(事務所)利用可、電力利用可 4日目からインターネット利用可 |
| 事業継続策 | ADサーバーをはじめとするサーバー群の代替機やバックアップデータを安全な保管場所(耐火金庫内)に保管 システム管理者被災時の代替人員の教育とマニュアルの作成 |
-ISMSで取り組まれたBCPとの違いはありましたか?
ISMSの範囲で取り組んだBCPは、情報漏えいなどのリスク対策として考えたもので、前提条件が全く違います。ISMSでは、例えばパソコンが1台不良で壊れる、ネットワークケーブルが切れるなど、短時間で復旧される事故などが前提であり、地震や火事などのリアリティを持った想定をして作ったものではありません。ですので、今回は異なる視点から策定していると言えます。
今何か起こったらビジネスは止まる、と感じた
-策定プロセスで何か気づきはありましたか?
リアルに感じたのは、今何か起こったらビジネスは確実に止まってしまう、ということでした。しかも数日単位ではなく数ヶ月単位で、です。今回の支援事業に参加するまでは、「サーバーにデータさえ入っていれば事業を継続することは大して難しくない」と軽く考えていた部分がありました。しかし、それは裏をかえせばサーバーが壊れてしまったら何もできなくなるということで、今の状態は危ういと感じました。色々と突き詰めて考えると、対策ポイントが多々あり、今回取り組めたことは非常に有意義だったと考えています。
-ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?
BCPの考え方や作成方法について非常に分かりやすくご説明いただいたので、すんなりと理解することができました。また、作成にあたっては少しくどいくらいに手順がしっかりとしているので、それに沿って進めることで効率的に進められたと思います。今思えばISMS導入の際は、審査のために文書を完成させることがゴールになっており、あとは回しながら考えようといった側面があり、かなりドタバタしたのですが、今回は形ありきではなく、手順を追ってじっくりと中身を考えることができたと思います。
短期間にも関わらずスケジュールどおりに終わったのも感謝しています。
-今後の運用計画を教えてください。
BCPを単独で運用しようとすると、他の仕事が忙しいからと後回しになってしまい、そのまま形骸化してしまう危険性が非常に高いと感じています。よって、既存のISMSの計画と重ねる形での運用を考えています。3ヶ月に1回開催しているISMS委員会の中で、BCPの課題や検討事項を必ず議題にあげることで対応していきます。
今回のプロジェクトでBCMSのベースはできたので、あとはリスクやテーマを変えて取り組みを拡大していく予定です。
行政支援を有効に活用しましょう
-取り組みを検討中の企業へメッセージをお願いします。
中小企業はやはり明日のご飯より今日のご飯、とならざるを得ない部分はあると思います。また、経営者的に言うと人は出せるがお金は出せないという場合は少なくないのではないでしょうか。行政の支援を活用して取り組みを進めることはBCP策定上有効だと思います。
-今日は貴重なお話をありがとうございました。
| 称号: | クラスメソッド株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地: | 東京都新宿区下宮比町2-26 共同飯田橋ビル7F |
| 設立: | 2004年7月 |
| 資本金: | 4,610万円 |
| 従業員数: | 41人 |
| 代表者: | 代表取締役 横田 聡 |
| 事業内容: | リッチインターネットアプリケーション開発 など |
| URL: | http://classmethod.jp/ |
(2010年9月末日現在)
今回のプロジェクトで印象に残ったことは、BCPの推進メンバーが、横田社長を含めて4名という少人数でありながら、このメンバーで社内の状況を十分に把握していて、迅速な検討、判断のもとに、適格な意思決定を次々になされるということでした。また、社長以下、学ぶべきところは学ぶ、という謙虚な姿勢が徹底していて、私共が提供するノウハウに対する吸収力・理解力には目をみはるものがありました。
このような姿勢を維持されている企業であればこそ、お客さまの信頼を獲得し、それが大手企業からの直接受注が大部分という結果に表れているのだと思い、私共としても大変勉強になりました。













