事例紹介: 株式会社アイエスエフネット
株式会社アイエスエフネットは情報通信システムの開発・保守サービスを日本のみならず、世界で提供する企業です。このたび東京都BCP策定支援事業の一環としてBCPの構築に取り組まれました。その経緯について、代表取締役 渡邉 幸義氏にお話をお伺いしました。
| 代表取締役 | 渡邉 幸義 氏 |
|---|---|
| 管理本部 副本部長 | 安永 剛 氏 |
| EPS事業本部本部長代行 | 五江渕 篤志 氏 |
| グローバルサービス統括本部 | 太田 裕之 氏 |
| 経営企画室 室長 | 若本 康平 氏 |
| 経営企画室 | 山下 大輔 氏 |
| 業務部 法務課 | 橋本 和典 氏 |
| 営業推進部 | 風戸 葉子 氏 |
| <ニュートン・コンサルティングメンバー> | |
| 代表取締役 | 副島 一也 |
| コンサルタント | 村田 成巳 |
| コンサルタント | 相馬 清隆 |
一流のホスピタリティでIT業界をリード
-事業内容を教えてください。
情報通信システムの開発・保守を日本のみならず世界でおこなっています。情報通信システムというのは、インターネットの通信技術をベースにした通信ネットワークをさしますが、顧客は通信業者を始め、一般企業から最近ではケーブル会社などもサポートさせていただいております。電話やテレビなどすべての通信技術がIP経由になるにともない市場は拡大の一方で、当社もおかげさまで成長を続けています。
とは言え、競合も多く、価格競争の激しいこの業界で当社がご評価いただけているのは、当社の社員が世界でも一流のホスピタリティでサポートをさせていただいているからです。これを導入しているIT企業は他にはないと自負しています。当社の社員は多くが元ニートやフリーターなのですが、全員を正社員として採用し、徹底教育していることが強みになっています。
無手勝流だった自社BCP
-今回BCP構築に取り組まれた理由を教えてください。

株式会社アイエスエフネット
代表取締役 渡邉 幸義 氏
当社は2年前からBCP的な取り組みをおこなってまいりましたが、何しろ無手勝流で進めておりました。まずはリスクの洗い出しをおこない、地震と新型インフルエンザへの対応を決定しました。
地震の対応としては食糧の備蓄や連絡手段の確保としての社員へのiPhoneの配布などをおこないました。ただ、定期的な見直しやブラッシュアップができていなかったので、先日食糧備蓄を調べてみたら賞味期限切れのものが多々あるなど、運用面で問題がありました。次にインフルエンザ対策としては、業務の二重化を進めるために属人化をやめるよう業務改善をおこないつつあります。
それでも対応が散漫であることは否めません。私は、歴史に学ぶということを大切にしています。過去の人が作ったもの、スタンダードになっているものは必要且つ既に確立しており、それは学んだ方がいいと思っているので、ISOの認証なども積極的に取得しています。そういう意味で今回はコンサルタントのご指導のもと、BCPに取り組めるのは非常に良い機会であると考えました。
1600名の社員を対象とした安否確認システム
-策定されたBCPの内容を教えてください。
当社の業務は多岐に渡るのですが、今回は全社員の安否確認および受託業務としておこなっているITサポートサービスを対象に地震を想定したBCPを策定しました。具体的には、東京湾北部地震を想定して東京地区以遠のITサポートを受託している企業の「リモートコントロール」・「ヘルプデスク」機能の継続を目指しています。
まず全社員の安否確認については、全国各地に勤務する1600名の社員の安否確認をどのように行うのかについて、体制を整えました。災害時に自動発信するセコムの安否確認メールを基点として、部署別に各責任者による徹底的な安否確認を実施する手段と体制を再確認しました。特に当社は障がい者を積極的に雇用しているので、彼らの安否確認や、社員の家族や取引先とのコミュニケーションについても運用体制を再確認しました。
事業継続策としては、災害時に想定される電源供給の遮断に対し、モバイルPCを用いて直接ユーザー網にアクセスすることで、「リモートコントロール」・「ヘルプデスク」機能を継続サポートするBCPを策定しました。
| 対象事業 | 全国に跨るITサポートサービス |
|---|---|
| 対象リスク | 地震 |
| 被災シナリオ | 午前10時 東京湾北部地震M7.3 ・ISFnet本社被害 サーバー 免震 正常シャットダウン 電話、ルーターハブ、PC電源オフにより不通、エレベーター不動 電源供給24時間後 ・対象業務 本社 管理・営業・技術 担当 委託者 地方通信ネットワーク 保守 |
| 事業継続策 | ・重要顧客に対しては24時間以内に当社の被災状況、復旧見込みを報告し、顧客の意向を確認して代替案を連絡する。 ・電源供給不可のため、本社経由のネットワークは使用不可、モバイルPCによる直接ユーザー網にアクセスして、「リモートコントロール」・「ヘルプデスク」機能を継続サポートする。 |
-苦労されたポイントを教えてください。
BCP策定にあたっては、最初に中核事業を選定しなくてはなりませんが、ここでまず悩みました。当社は全国17か所に拠点があり、海外にも進出しているのですが、売上の中で一番大きな割合を占めるのは、派遣事業です。ただ、派遣事業は派遣先の指揮命令に従うことが基本ですので、当社で統制をかけることが困難だということで、今回はITサポートサービスを対象としました。
ITサポートは通常時でも24時間365日のサービスですが、ここが止まるとお客様の業務もとまってしまう危険性があり、まさにBCPが求められる事業分野です。また、情報通信のネットワークは全国にまたがっているため、東京湾で起きた地震で、実は全国のネットワークに被害がおよんでしまうという点において、非常に重要です。
-策定にあたって、何か気づきはありましたか?
当社は以前から社内でリスクマネジメントの取り組みをおこない、様々なリスクを洗い出して考えたつもりでいましたが、今回コンサルタントの方の支援のもと検討作業をしてみると、対応が浅かったと認識しました。
ただ、今回以前から導入していた安否確認システムを初めて全社員を対象としてテスト運用してみたのですが、社員からのレスポンスも早く、通常の教育が活きていることも確認することができました。
また、今回このプロジェクトには法務部の担当者も参加し、この取り組みをお客様とのSLAにどのように盛り込めるかなどもあわせて検討しておりますので、当社のサービス力向上につながればと考えています。
絞りこんだ実効的BCPを策定
-ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか?
前述のとおり、当社は中核事業の選定で時間がかかったのですが、ほかにも被災想定の決定など想定しなくてはならないものの範囲が広く、路頭に迷っている部分がありました。その際、コンサルタントの方が対象を絞って明確にすることの必要性をアドバイスしてくださり、割り切って進めることができました。これがなければ、すごく漠然としたものができあがっていたのではないかと思います。
-今後の運用計画について教えてください。
まずは今回策定したBCPの内容を改善していくことと、運用ベースに乗せることを進めます。その後は、今回対象外とした派遣事業や中国、韓国、シンガポールへの展開を進めている海外拠点に横展開していく予定です。
-取り組みを検討中の企業へメッセージをお願いします。
多くの企業では起こるか分からないリスクにはなかなか積極的に取り組めていないのではないかと思います。しかし企業としては、リスク分までをコストに含めて利益を出す努力をしなくてはならないと私は考えています。
今、企業は様々なリスクにさらされています。当社では鬱病対策のチームやリスクマネジメントのチームを編成し、ここにかかるコストの分まで社員が汗をかくことで、逆に不景気になっても強い会社、社員が尊敬できる会社を運営できているのだと考えています。
-今日は貴重なお話をありがとうございました。
| 称号: | 株式会社アイエスエフネット |
|---|---|
| 本社所在地: | 東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F |
| 設立: | 2000年1月 |
| 資本金: | 2億850千円 |
| 従業員数: | グループ全体:1859人 |
| 代表者: | 代表取締役 渡邉 幸義 |
| 事業内容: | 情報通信システムの設計、施工、保守及びコンサルタント業務など |
| URL: | http://www.isfnet.co.jp/ |
(2011年1月1日現在)
ISFnet様のBCP策定のお手伝いをする中で感じたことは、企業としての倫理観やホスピタリティという観点からの社員教育の徹底です。常に社員がお客様は何が必要なのか、何をすべきなのかを念頭に行動していることです。それは、策定過程におけるプロジェクトチームの言動や行動にも現れていて、議論は常に熱心・真剣でした。
ISFnet様は企業規模としては社員1,600名、国内15拠点、海外3拠点を展開する大規模企業であり、提供サービスも多岐に渡っていることにより、中核事業の選定が難しかった経緯がありました。しかし、全社を横断的に組織したプロジェクトメンバーとして経営企画・営業・技術・法務の各責任者が参加のもと、具体的なサポート企業を視野に入れた事業影響度分析等を行い決定することができました。
常にお客様の観点よりソリューションの提案・構築を行っていく企業姿勢には多くの事を学ばせて頂きました。今後もISFnet様のご活躍を期待してやみません。













