平成24年度 情報交換会開催レポート
平成22・23年度に東京都BCP策定支援事業に参加された企業・団体を対象とする情報交換会を、2012年9月25日及び2013年1月16日に開催し、多くの経営者・経営幹部の方々にご参加いただきました。
この情報交換会は、BCPに関する最新情報や訓練の工夫、経営の役に立った事例等を紹介することにより、各企業・団体のBCPの継続的取組に役立てることを目的として実施しているものです。
以下、当日の模様をご報告いたします。
情報交換会の様子
第1回・第2回ともに下記のようなプログラムで実施しました。参加企業・団体に多くの情報や知見、気付きを持ち帰っていただくため、盛りだくさんの内容となりました。
| 1 | オープニング | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | BCP最新情報ご紹介 | ||||||||
| 3 | BCP取組状況自己評価 実施結果概要説明 | ||||||||
| 4 | 演習実施事例紹介 | ||||||||
| 5 |
| ||||||||
| 6 | グループディスカッション(説明・討議) | ||||||||
| 7 | クロージング | ||||||||
演習実施事例発表
参加者にとって大きな収穫となったのは、各社の演習実施事例でした。
第1回では、株式会社原工業所、株式会社興伸、株式会社生出が発表を行いました。
株式会社原工業所ではユニークな“サイコロBCP”の演習が行われています。
同社は2012年4月から「BCP委員会」を設立し、メンバー5名(営業、設備、労働組合代表、総務、代表)により、忙しい日常業務の中でも負担にならない60分という制限時間を決めた演習を行っています。
具体的には、あらかじめサイコロの目の数に応じた被災想定を設定し、出た目によって被災シナリオを決めることで、様々なパターンについて討議を行うことができるという遊び心にあふれたものです。討議結果は、備蓄の見直し等に確実にフィードバックされているとのことでした。
株式会社興伸でも、演習を最重要と位置付けた取組がなされています。
同社が実施する「BCPウォーキング大会」は、災害を想定しながら、複数ポイントから事業所までを実際に歩く訓練です。道中で危険ポイントや各種施設の有無をチェックしてオリジナルの災害ロードマップを作成し、従業員に携帯させています。
また、全社員を対象としたBCPシミュレーション演習等では、被害想定を従業員には知らせず、重傷者役や故障機器、入室不可ゾーンのシナリオに基づき、部門ごとに設定されたミッションのクリアを目指します。演習後は発表会を行い、課題等を社内で共有しているとのことでした。
株式会社生出では、「BCP訓練」「緊急連絡と安否確認」「被害状況調査」など8項目のBCP訓練を実施しています。
業務継続(仮復旧)から本格復旧フェーズに向けた「BCP訓練」では、詳細な被災想定に対して復旧手順書を読上げて報告し、抜け・漏れのチェックをした後、全員で討議することで、初動対応手順書、復旧活動手順書及び行動基準などの実効性を確認していきます。こうしたスキームによりメンバーは理解を深め、イメージを持つことができます。また、時間を割いてコミュニケーションを取り、議論をし、演習を繰り返すことで実践的な対応能力が身に付くことを実感しています。こうした訓練を策定後10回以上実施しており、BCPがより明確なものになったとのことでした。
第2回では、株式会社木村工業、株式会社ティーアイジェー東京日本語研修所、株式会社田島、大成ファインケミカル株式会社が取組を発表しました。
株式会社木村工業からは、2012年に行われたBCP訓練の様子を豊富な写真で紹介していただきました。上水道施設の維持管理工事などを主事業とする同社は、有事の際は道路啓開や水道復旧隊としての活動により復旧を目指すことがBCPの内容となっています。東日本大震災の際も、行政の要請により7名のメンバーが仙台に出動した実績があります。 訓練は工事施工中の現場の安全対策、避難訓練、地震体験車による体験、安否確認といった内容で、屋外テントを張っての屋外対策本部の立ち上げ、消防署や警視庁所轄署と実施した合同訓練(活動障害車両の移動訓練、被災者救助訓練)などの様子が紹介されました。これらの訓練を通じて、「BCP訓練とはやり続けること、言い続けること、考え続けること、経験を忘れないこと」という実感を持ったとのことでした。
株式会社ティーアイジェー東京日本語研修所でも、1年を通じて細かく訓練が実施されています。
同社は、進学を目指して来日する留学生や日本に居住する外国人を対象に日本語教育を提供しているため、講師・職員による地震発生から授業再開までのシミュレーション、学生及び講師の安否確認、ウェブサイトを用いた連絡の発信、講師・職員の緊急時避難などを行いました。
特に安否確認の訓練は新入生や上級生、講師などに応じて繰り返され、想定と現実の差を埋めていくことでより実効性の高い方法に改善されています。今後は就業時間外での訓練を実施してさらに実効性の高いものにしていくほか、有事の際に学生の保護者へ情報提供をできる体制を整備していくとのことです。
株式会社田島からは、2012年秋に実施された防災訓練の内容を紹介していただきました。
同社はLPガスの供給事業を営んでおり、有事にはその供給再開が優先業務となります。演習は、災害直後の避難行動から対策本部の立ち上げ、そして現場への出動にいたるまで、ほぼ1日かけて実施されました。安否確認、配送担当者・検診担当者向けの演習、災害時出動マニュアルの検証、対策本部の設営と活動、重要取引先との連絡などの訓練が行われ、BCPマニュアルのわかりにくい点、連絡の行き違い、役割の不明瞭、備蓄品の不足等多くの気付きが得られたとのことです。
大成ファインケミカル株式会社からは「課題解決型訓練の試み」という表題で、従業員の判断と行動を重視した演習について紹介いただきました。
同社工場ではこれまでも二次災害防止訓練が行われており、基本行動はできていることから、一歩踏み込んだ演習が実施されました。たとえば「配管のフランジから液漏れ・臭気確認」といったシナリオから、「床に給油マットやオイルフェンスを設置して液漏れの拡大を防ぐ」といった二次災害防止策を班ごとに議論し、対策を報告するというものです。報告された対策は製造班全員で共有し、幅のある防止策について判断と行動を併せて習得されたとのことです。
こうした取組により、従業員のリスクへの意識を高め、策定したBCPの問題点を全員で抽出し、改善していくことが目指されています。
参加企業のご意見・ご感想
参加企業・団体から、次のようなご意見・ご感想をいただきました。
- 継続することに意味があるBCPなので、参加各社とのコミュニケーションを今後も強く持ち続けたい。
- 他社の取組や当社のBCPで悩んでいたことを気軽に話せて、今後に役立つ情報を得られた。
- 発表されていた演習を自社でも真似してみたい。
東京都では引き続き、策定企業のサポートに様々な形で取り組んでまいります。

