頑張る東京の中小企業を応援します!東京都産業労働局商工部ホームページはこちら

[2010年11月30日取材]
学生起業家選手権を経て会社を設立。鍼灸医療の発展に取り組む
【株式会社ボーダーヒル】

会社概要

写真
同社社長の境一志氏。鍼灸整骨院で治療を行うと同時に、鍼灸用品の開発を行う発明家としての顔を持っている

 西新宿にある株式会社ボーダーヒルは、けが・痛み専門の治療院である「さかい鍼灸整骨院」の運営・施術と、鍼灸用品の開発・製造・販売を行っている企業です。同社は電機メーカー出身の境一志氏が、鍼灸学校在学中に参加した「平成18年度 学生起業家選手権」で優秀賞を獲得したことをきっかけに設立されました。

 同社の代表を務める境氏は、鍼灸整骨院で施術を手掛ける一方、前職で製品開発を担当していた経験を活かし、数多くの鍼灸用品の開発を行っており、鍼パックを一度に開封することのできる「鍼パック開封機」や、鍼や消毒綿花を安全に携帯することのできる「鍼ホルダー」などを発明。「鍼ホルダー」は日本発明振興協会主催の第29回優秀発明賞で優秀考案賞を受賞をしています。その他、「鍼スタンド」や「廃鍼ボックス」など、より安全で衛生的な治療環境を目指して、様々な製品開発に取り組んでいます。

 また、現在は鍼灸用品以外にも「世の中に貢献できるもの」というスタンスのもと、日用品の開発も始めており、「恋するハートシリーズ」として、デザインや持ちやすさにこだわったコーヒーカップ、机を汚さないミルクスタンドなどの販売も行っています。治療だけにこだわるのではなく、様々な製品の開発に取り組むことで、医療の質を向上させることを目指す同社。開発した鍼灸用品の普及に向けて、専門学校などへのアプローチも行っており、今後の鍼灸医療の発展に向けて、様々な取り組みを続けています。
  • 写真
    西新宿のさかい鍼灸整骨院の様子。院内は清潔に保たれ、多くの人が治療に訪れる
  • 写真
    境氏が開発した鍼ホルダー。日本発明振興協会主催優秀発明賞の優秀考案賞などを受賞した
  • 写真
    美濃焼「恋するハート・シリーズ」の食器。鍼灸用品だけでなく、生活用品の開発も手掛けている

企業情報

企業名 株式会社ボーダーヒル
住所 東京都新宿区西新宿7-5-6-805
電話番号 03-3364-1388
資本金 3,000,000円
従業員数 1名
売上高 約1,600万円
代表者名 境 一志(サカイ カズシ)
ホームページアドレス http://www.border-hill.com/
主要製品等 鍼灸院、整骨院(さかい鍼灸整骨院)
鍼灸用品、食器

支援施策を利用した狙い

 前の会社を退職した後、治療院を開くために、専門学校に通っていました。その間も、起業に向けて何か良い情報はないか探すために、よく東京都中小企業振興公社の多摩支社に行っていたのですが、そこで学生起業家選手権の資料を見つけました。

 ちょうど自分自身も学生で、鍼灸医療の問題点を解決するアイデアを持っていて、それを活かせばうまく発表ができるのではないかと考え、応募することにしました。その時は優秀賞が取りたいというよりは、自分がやりたいこと、ビジョンがあったのでトライをしてみようという気持ちでした。

支援活用の効果

写真
学生起業家選手権で発表した鍼パック開封機の完成品。鍼パックを機械的に一度に開封することで汚染や落下を防止し、衛生的な治療が可能になる

【学生起業家選手権について】
 最初の予選の段階で他の参加者の発表を見て、どうすれば勝てるのかというイメージはかなり見えていました。参加者のほとんどが社会人経験のない学生で、私の場合は経験がありましたので、違いはあったと思います。また、聞き手が何が聞きたいのかという部分も分かりましたので、煮詰めてやればいけるのではないかという感触を持っていました。

 選手権では「医療機器・介護用品における新製品開発事業」ということで、鍼パック開封機の開発を考えていたのですが、正式に応募すると決めた段階から図面を引き始めて、本番では実際に発注をする段階まで進めていました。本当は試作品として形ができていれば一番良かったのですが、そこまでは時間的に難しかったため、図面を引いて説明をするという形を取りました。同時に特許関連の手続きも進め、東京都知的財産総合センターを活用して申請も行い、この事業の実現性をPRしました。ただし、その時点では私自身が実際の鍼灸業界で働いた経験がなかったため、市場性や売上などについて、いかに説得力を持たせるかが難しかったです。それでも、今回は人に貢献をするというのが目的ですので、その部分を押し出して、鍼灸医療の向上につながる事業ということを強くアピールしました。

 その時は、この事業が世の中に理解され、評価されるのであれば優秀賞を取ることができると考えていました。逆に必要とされてなければ治療院だけにして、機器開発の会社の設立はやめようと考えていたのです。結果的に優秀賞を獲得することができ、みなさんが必要な事業だと感じていることが分かったこと、そこはプラスになりました。しかし、世の中(患者さんを含む)の意見と、鍼灸業界の意見には温度差があります。業界からすると、なるべくお金をかけたくない、新たな鍼灸用品などなくても治療はできるという考えですが、多くの人は安全で衛生的な治療をしてほしいという願いを持っていると思っています。経済面や認知度を含め、日本の伝統医療である鍼灸医療はとても厳しい状況にあります。これを変えて行くには東京都や行政の協力も必要だと感じます。

【その後の展開】
 現在は制度・金額が変わっていますが、その当時は年度内に会社を設立すれば賞金がもらえるという仕組みだったので、すぐに会社を設立して治療院開業資金の一部にさせて頂きました。ただ、実際に設立してみて、会社を継続させていくことが、いかに大変かということも強く実感しています。会社は設立して終わりではなく、そこから継続させていくことが大切なのです。その意味で、会社設立後のサポートやフォローアップが、より手厚いともっと良いと思います。

今後の展望

 基本的なスタンスとしては、鍼灸治療院の経営をしながら、鍼灸用品の開発を行っていきたいと考えています。これらの製品を使って頂くことで、患者さんが安心して受診できる医療にしたいというのが強い願いです。また、それに加えて世の中に貢献できるものがあれば、生活用品や介護用品等も扱っていきたいと思っています。

【学生起業家選手権への参加を考えている方へのメッセージ】
 目的は選手権で優勝することでしょうか?それとも会社を作ることでしょうか?この選手権で優秀賞を獲得することがゴールではありません。そこはあくまでも通過点に過ぎませんので、それを終着点にしないで、また賞の有無に関わらず長い目で自分が理想としている会社を作って、継続するというところまで考えてもらいたいと思います。そこまで考えている人が優勝でき、かつ会社も成功するのではないでしょうか。

お問い合わせ

東京都産業労働局商工部創業支援課 TEL:03-5320-4763