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株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルの取組み 東京都中央区日本橋室町1-2-4

セレナーデ号

新しい旅のスタイルの提案 誰もが参加しやすく、共に楽しめるツアーを目指して

株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルは、シニア向けの海外旅行に強いニッコウトラベルと富裕層向けの国内旅行に強い三越伊勢丹旅行が2019年に合併して誕生した旅行会社で、「上質でゆとりある安心・安全な旅をお届けする」「心豊かな体験を創造することで、生涯にわたる旅のパートナーであり続ける」を企業理念として掲げています。希少性や独自性など本物本質の価値にこだわり、新しい旅のスタイルを提案しています。これまでツアー参加者の身体状況に合った3段階のゆったり度を選べる旅や、寛ぎの移動空間を提供するツアーを提案してきました。例えば、国内では、通常の大型バスは45席の座席配置のところ、10席のゆとりある「プレミアムクルーザー」を利用したツアーや、ヨーロッパにおいては、自社所有のリバークルーズ客船「セレナーデ号」のツアーなど、独自性に富んだサ-ビスを提供してきました。

この度、新しい旅のスタイルの提案として、長距離を歩くことが苦手な方が観光地を快適に散策できるよう、ツアー行程中に電動カートを利用していただくことで、誰もが参加しやすいツアーを企画・催行しました。具体的な取組みについて、株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベル旅行営業部ツーリズム戦略担当新規開発マネージャ―の坂口智一さんに伺いました。

セレナーデ号

プレミアムクルーザー

プレミアムクルーザー車内

誰もが参加しやすい旅の原点は3段階の「ゆったり度」の設定から

合併前からニッコウトラベルは顧客リピート率が非常に高く、当初はそれほどでなかったお客様も経年とともに高齢化してきました。歩く速さだけでなく、荷造り等の時間でもお客様によって差が出てくることが課題でしたが、これまでのツアーでは、参加者の年齢、健脚度合い等を考慮していなかったことに気が付きました。そこで、もともとゆったりとした旅を望んでいるお客様が多かったこともあり、想いに寄り添うゆとりの旅と銘打ち、「体のゆとり」、「時間のゆとり」、「心のゆとり」を大切に、3段階の「ゆったり度」を設定しました。旅行中の観光や移動等動きの速さの違いにより、一人ひとりの体力に合わせた旅が選べるように取り組んでいます。

例えば、取組みの原点となったヨーロッパツアーの場合、「ゆったり度1」は連続の歩行時間目安を約1時間~1時間30分として、徒歩観光でも見どころを最大限楽しんでいただけるよう注意しています。「ゆったり度2」は連続の歩行時間目安が約30分~40分で、長時間歩行や階段、坂道などを極力避け、ミニトレインや馬車の利用の街巡りや美術鑑賞などを、休憩をはさみながら楽しんでもらいます。「ゆったり度3」の連続の歩行時間目安は約10分~15分で、体力的に海外旅行をあきらめていた方でも気兼ねすることなく安心して楽しんでもらえるよう、歩行時間を最小限にとどめています。また、大型バスでは入れない小道も小回りの利くタクシーに分乗して移動し、時にはカフェで休憩も取ります。

プレミアムクルーザー

プレミアムクルーザー車内

3段階のゆったり度設定に見えてきた課題

このように3段階のゆったり度を設定する中でもいくつかの課題も見えてきました。特に中間に位置する「ゆったり度2」の特徴付けが弱くなってきたことや、「ゆったり度3」のオペレーション上の課題などです。例えば、タクシーの台数が揃わなかったり、「ゆったり度3」で使えるホテルやレストラン情報が少なく手配に時間を要したりしました。これらは自社添乗員からの現地情報のフィードバックなどで何とかクリアしてきましたが、国内旅行においてはゆったり度を3段階に分ける差別化が難しいことも課題となっています。もともと国内旅行はゆったり旅となっていることもあり、明確な差別化が難しいということです。一方でお客様からはもっと「ゆったり度2」や「ゆったり度3」の旅を増やしてほしいというお声を頂いており、海外旅行で培ったノウハウを国内旅行に取り入れながら日々企画検討を続けています。

電動カート

誰もが参加しやすく、共に楽しめるツアーへの挑戦

3段階に分けるということは、そこにバリアをつくってしまうことではないかという疑問も湧いてきました。「ゆったり度1」を希望しているお客様に、あなたには、体力的に辛いからこのツアーは難しいですよと伝えることに大きな疑問を感じてきたのです。本来であればゆったり度に拘わらず、誰もが参加できて高齢者でもお孫さんの歩く速さに合わせて楽しめるツアーが必要なのではないかという考えから、誰もが同じペースで同じように楽しめるツアーを創ることができないかの挑戦が始まりました。
どうしたら誰もが参加しやすい旅を創ることができるのか、試行錯誤をしている時、グループ百貨店外商部門から、電動カートの購入を検討しているお得意様がいるが、旅行中にも利用できるのではないかというヒントをもらいました。

早速電動カートの資料を取り寄せ、検討を行いましたが、危険性はないかとの危惧のため、当初はさほど乗り気ではありませんでした。しかし、現物に試乗してみたところ、折り畳み可能でコンパクトかつ操作も簡単だったため、これなら長い距離を歩くことが苦手な方でも皆と同じペースで観光ができ、参加者に喜んでいただけると確信しました。令和5年4月のツアーで初めて取り入れましたが、初めは躊躇されていた方も実際に利用してみると、その快適さと便利さに気づかれて積極的に利用されるようになってきました。

電動カート

ツアーの様子

誰もが一緒に旅をする楽しさを持ち続けて欲しい

旅を諦めてほしくないという思いで、ゆったり度のカテゴリーによる自分の体力に合わせたツアーに取り組んでいます。電動カートを利用したツアーは、身体状況は違うけれど誰もが一緒に旅をする楽しさを持ち続けて欲しいという思いから生まれました。お客様の平均年齢が73歳を迎えている今、いつまでもご利用いただけるよう上質でゆとりある安心・安全な旅をお届けし続けたいと日々検討を続けています。

ツアーの様子

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