• トップページ  > 
  • 東京都美術館の取組み|アクセシブル・ツーリズム推進事例

東京都美術館の取組み 東京都台東区上野公園8-36

東京都美術館外観

すべての人に開かれた「アートへの入口」を目指して

東京都美術館はすべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指しており、乳幼児から高齢者まで、障害のある人もない人も、そして海外にルーツをもつ人たちも、だれもが文化施設やアートプログラムと出会い、参加しやすいように文化芸術へのアクセシビリティ向上に取り組むプロジェクト「Creative Well-being Tokyo(クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー)」(主催:東京都、東京都歴史文化財団)の一環として、様々な取組を展開しています。
東京都美術館の具体的な取組みについて、ご担当者にお話を伺いました。

東京都美術館外観

「Creative Well-being Tokyo」における取組みについて

東京都美術館では、すべての人に開かれた「アートへの入口」を目指して下記のプロジェクトに取り組んでいます。

  1. ① 障害のある方、ご高齢の方、ベビーカーをご利用の方などが館内で快適に過ごせるように、施設情 報をまとめた「バリアフリーガイド」(外部サイト)を作成
  2. ② 障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に「障害のある方のための特別鑑賞会」(外部サイト)を開催
  3. ③ 美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育む「とびらプロジェクト」(外部サイト)の推進
  4. ④ すべての子どもたちのミュージアム体験をサポートする「Museum Start あいうえの」(外部サイト)の推進
  5. ⑤ 歳を重ねてもずっと通いたくなる美術館を目指す「Creative Ageing ずっとび」(外部サイト)の推進
誰もがより快適に過ごしていただく為の「バリアフリーガイド」の作成

バリアフリートイレ

2012年の大規模改修で館内は大幅にバリアフリー化されました。それまであった段差はスロープとエレベーターで解消して、高齢者や車いすを使用している方でも館内を移動しやすいようにしました。2021年には、障害当事者やバリアフリーの専門家に実際に館内を見てもらい、館内バリアフリーガイドを作成しました。掲載内容については下記の点に留意しました。

  1. ① 立体的な見取り図で、エレベーターや車いす対応トイレの場所が分かり易いように表記。
  2. ② 館内13カ所の車いす対応トイレの装備をピクトグラムの一覧表示で分かり易くした。
  3. ③ 美術情報室やレストラン・カフェの写真画像を掲載すると共に、特にレストラン・カフェのテーブルや椅子の幅・奥行・座面高などの寸法を表記し、利用可否をご判断いただけるようにした。
  4. ④ 車いすやベビーカーの貸し出し台数を明示して、事前の来館計画を立てやすくした。

バリアフリーガイドをご覧いただくことで、館内の利用イメージが湧き、来館前の安心感や期待感に繋がりました。

バリアフリートイレ

障害のある方のための特別鑑賞会

「障害のある方のための特別鑑賞会」の開催

1997年に障害がある方の展覧会「エイブル・アート’97・東京展 魂の対話」の開催をきっかけに、1999年から「障害のある方のための特別鑑賞会」を継続開催しています。これは障害のある方がより安心して鑑賞できるように、その年の特別展毎に1回、休室日に開催する特別鑑賞会です。「とびらプロジェクト」で活動する広く一般から募集したアートコミュニケータ(愛称:とびラー)や3年間の任期を満了した“元とびラー”から構成される任意団体「アート・コミュニケータ東京」の会員が受付や移動のお手伝いをします。

特別鑑賞会の対象となる方は、身体障害者手帳・愛の手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳などをお持ちの方とその介助者1名までで、事前申込制で観覧料は無料としています。“とびラー”によるサポートがあることが来館者にとって安心できる要素となり、大変好評で、今後も継続開催を考えています。

障害のある方のための特別鑑賞会

とびらプロジェクト

「とびらプロジェクト」とは

とびらプロジェクトとは美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育むソーシャルデザインプロジェクトで、2012年に東京都美術館がリニューアルオープンしたことをきっかけに、隣の東京藝術大学と手を組み始動しました。

東京都美術館では、毎年“とびラー”を40名程公募しており、任期は3年間、現在は132名が在籍しています。基礎講座と実践講座を通して“とびラー”としての役割の理解を深め、学芸員や専門家と対話を重ねながら美術館の文化資源を活かした活動を展開しています。“とびラー”は基礎講座ではコミュニケーションの基本となる「聴く力」などを身につけ、実践講座では障害のある人など美術館に行くことが難しい人が来館利用するために必要な支援を考え、企画する「アクセス実践講座」などを選択できます。

現役の“とびラー”と、3年間の任期を満了した“元とびラー”から構成される任意団体「アート・コミュニケータ東京」の会員は、先述の「障害のある方のための特別鑑賞会」の受付や導線のご案内、エレベーターの乗り降りのサポートをしています。目の不自由な方には一緒に作品を鑑賞しながら、“とびラー”の目を通して作品を味わっていただきます。

とびらプロジェクト

「Museum Start あいうえの」とは

「Museum Start あいうえの」はすべてのこどもたちにミュージアムでの特別な体験をしてもらうために、上野公園の美術館・博物館・図書館・音楽ホール・藝術大学の9つの文化施設が連動して2013年にスタートしたプロジェクトで3つのジャンルで構成されています。

  1. ① こどもたちの主体的・探究的に学ぶ力が身につく、「ファミリー&ティーンズ・プログラム」は、建築をじっくりと観察して、工夫やこだわりを見つける「ズームイン!ミュージアム」、上野公園のミュージアムをオンラインとリアルで探検する「〜Wander Wonderワンダー ワンダー〜 うえので探す、うえのの不思議」、ティーンズ世代を対象とした「みるラボ:わからないのはじまり」の3種類のプログラムがあります。
  2. ② こどもたちのはじめてのミュージアム体験を、学習指導要領に基づきながら行う「学校プログラム」は、展覧会の休室日に会場を貸切状態で作品鑑賞ができる「スペシャル・マンデー」と、幅広いコースに対応しながら授業日程を選択できる「うえのウェルカム」の2種類のプログラムがあります。
  3. ③ 様々な家庭状況にあるこどもたちや多様な文化背景を持つこどもたちが、ミュージアムを楽しむ「ダイバーシティプログラム」は、多様な家庭環境にあるこどもたちを支援する団体を対象とした「ミュージアム・トリップ」と、外国にルーツを持つこどもたちを対象とした「美術館でやさしい日本語プログラム」の2種類のプログラムがあります。
「Creative Ageing ずっとび」の取組み

「Creative Ageing ずっとび」は、超高齢社会に対応する東京都美術館のアート・コミュニケーション事業のひとつで、2021年に始まりました。“Creative Ageing”とは欧米のシニア向け文化事業で良く用いられるスローガンで、クリエイティブ(創造的に)とエイジング(年を重ねる)をかけ合わせたもので、日本語の「老い(心身の衰え)」がもつ悲観的なイメージとは異なり、「歳を取る」ことをポジティブにとらえる考え方です。アートが好きだけど身体的なハードルから美術館を疎遠に感じてしまうシニア世代の方々に対しても、より主体的で創造的に楽しめる機会をつくり、美術館の作品や建物を介して、さまざまな「つながり」と「コミュニケーション」が生まれるような、社会参加の機会を増やしたいと考えています。

具体的な事例として、高校生と65歳以上のシニアの異世代交流プログラムや、台東区の介護・福祉・医療従事者の協力により、認知症の方とそのご家族を対象とした鑑賞プログラムなどを開催しています。
この認知症の方のプログラムでは作品の前で語るのは学芸員ではなくグループで作品を見た参加者が感じたことを対話しながら鑑賞します。認知症当事者とその家族2組4名と“とびラー”4名の8人でグループを作り、医療と福祉の専門スタッフも運営に加わってもらいました。ご家族からは、「普段と違い絵画を通じて人と話す親の姿を見ることができよかった」という声をいただきました。今後も医療、福祉の専門家と連携しながら、歳を重ねても美術館に安心して来館できる環境づくりに努め、様々なプログラムを通して「ずっとび」のコミュニティを広げていきたいと思います。

また来たいと思っていただける美術館を目指して

東京都美術館は年3~4回の特別展や企画展、公募団体展などを開催していますが、特に公募団体展は年間約260団体の開催がありジャンルも多岐にわたっています。東京都美術館に来館する方の目的は、特別展や企画展を鑑賞する方、公募団体展の作品を鑑賞する方々、家族の作品を見に来る方等様々です。多種多様なニーズ、目的を持った皆様が楽しめる美術館となるには、まだまだ課題があると考えています。

特別展を鑑賞した方が、公募団体展も楽しんでいただける工夫や共有スペースの充実も課題です。美術館の各スタッフが有機的に連携して、クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョーのプロジェクトをなお一層推進し、また来たい、いつまでも来たいと思っていただける東京都美術館を目指していきます。

sns ソーシャルメディアアカウント

Facebookもチェック

誰にでも優しく、
どこへでも行ける 東京。

観光は誰にとっても自由で、どこへだって行けるはず。
「行きたいところを旅する」ということは
人生を豊かにしてくれます。

東京は、あなたが訪れてくれることを歓迎します。
伝統・歴史・文化・自然・テクノロジー、
そしてなにより笑顔に出会えることでしょう。

アクセシブル・ツーリズムを
もっと身近に、もっと楽しく。

tokyo is fit for all.