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株式会社LIXILの取組み 東京都品川区西品川一丁目1番1号 大崎ガーデンタワー24階

誰もが使いやすく、安心して使えるトイレを目指して

株式会社LIXIL 新本社

株式会社LIXIL 石原雄太氏

商業施設や駅・オフィス等、外出先の至る所にトイレは整備されており、大多数の方は普段から意識することなくトイレを利用することができます。一方、身体的特性による不便さや困難さから、一般用トイレの利用を躊躇されている方がいます。社会的マイノリティ(少数派)とされている車いすユーザーの方、視覚障害がある方、オストメイトの方などです。また、トランスジェンダーの方のように、自分に合ったトイレの選択ができず困っている方もいます。

トイレを利用することは誰にとっても当たり前のことですが、そこに不便さや困難さを感じている人がいるという現実を社会的問題として捉えたLIXILは、建築家の永山祐子さんとのコラボレーションにより、「自分にあった個室を選択できる」という新しい発想のトイレ、「オルタナティブ・トイレ」を創りました。オルタナティブ・トイレとは、すべてを“男女共用”にするのではなく、状況に応じて“男女共用”と“男女別”、さらには、車いすユーザーの方などにも配慮した個室を選択できるトイレ空間です。性別だけでなく、障害のある方や子連れの方など、誰もが選択肢を持てるように計画されたパブリックトイレの新しい提案です。その具体的な取組みについて、株式会社LIXILのLWTJ(LIXIL Water Technology Japan)スペースプランニンググループの石原雄太氏にお話を伺いました。

株式会社LIXIL 新本社

株式会社LIXIL 石原雄太氏

オルタナティブ・トイレが生まれた背景と経緯

オルタナティブ・トイレ 空間レイアウト

2015年、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて海外のトイレ事情を調査していた時に、トランスジェンダーの方が男女別トイレを使いづらく困っている、という情報がアメリカから入ってきました。日本にはそうした知見が乏しかったことから、色々な所に協力を依頼し、その課題を研究していくことになりました。3名の建築家の監修のもと、トランスジェンダーの方々も含めて、誰もが利用できるオールジェンダートイレについて、様々なトライアルに基づいた議論を行い、これからのパブリックトイレのあり方について考察しました。

まずは、オールジェンダートイレは男女共用トイレを指すと考え、全国のオフィスワーカーに「オフィスのトイレが男女共用になったらどう思うか」というアンケート調査(※オフィストイレの意識調査2017 LIXIL)を実施しました。すると65.6%が男女共用トイレは使いたくないと回答しました。特に女性は86.0%という高い回答結果でした。そこで建築家のお一人、永山祐子氏から、誰もが選択可能で平等に開かれたトイレとして、性別を選ぶことも機能を選ぶこともできる空間を創るアイデアが提示されました。すべてを共用にするのではなく、男女別や必要な機能を選択できるというものです。選択肢があるというコンセプトから「オルタナティブ・トイレ」というネーミングとなりました。

オルタナティブ・トイレ 空間レイアウト

コンセプトモデルの設置と普及への課題

旧本社 オルタナティブ・トイレ コミュニティスペース

旧本社 オルタナティブ・トイレ 男女共用スペース

2015年当初はLGBTやトランスジェンダーということがまだあまり知られていなかったため、性的マイノリティの視点に立ったトイレの必要性について、組織内理解が得られにくい状況でした。しかし、徐々に理解者が増え、営業関係者も協力してくれるようになり、2019年には、オルタナティブ・トイレのコンセプトモデルがLIXIL旧本社ビル1階に設置されました。
(※LIXIL本社は2022年11月に移転)

コンセプトモデルでは、手前がコミュニティスペース、中央が男女共用エリア、左が男性エリア、右が女性エリアとなっており、トイレ空間入口に空き状況を知らせるデジタルサイネージと共に「自分に合った個室をお選びください」というメッセージを掲載しています。
今後の普及については課題もあります。男性用も個室にすることや、利用者が入口でどのトイレにするか選択することにより、従来のトイレと比較すると回転率が悪くなるため、高速道路のサービスエリア等、一度に多数の方が利用するトイレでは設置は難しくなります。また、コスト面での負担や、立地環境による治安上の課題等もあります。しかし、誰もが選択肢を持てるよう、実際に建築設計に携わる方々には「オルタナティブ・トイレ」に是非チャレンジしていただきたいと願っています。

旧本社 オルタナティブ・トイレ コミュニティスペース

旧本社 オルタナティブ・トイレ 男女共用スペース

誰にとっても使いやすく、安心して使えるトイレ LIXILが目指していること

「オルタナティブ・トイレ」はアイデアの一つであって、目標を達成するための答えは一つではないと考えています。誰もが安心して快適に利用できるトイレの実現には、各々が多少の煩わしさを感じることもあるでしょう。しかし、その煩わしさを相互理解で乗り越えることで他の人が救われることもあります。LIXILではこの活動を通して多くの当事者を知ることができました。当事者の方が表に出やすい環境を創くれば、多くの方々に知っていただける場面も増えて、相互理解が進むと考えています。
LIXILは「トイレへのアクセスは基本的人権の一つ」という考えのもと、誰もが安心して快適に利用できるインクルーシブなパブリックトイレ空間を今後も目指していきます。

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