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  • 株式会社串カツ田中ホールディングスの取組み|アクセシブル・ツーリズム推進事例

株式会社串カツ田中ホールディングスの取組み 東京都東五反田1-7-6 藤和東五反田ビル5階

代表取締役社長 坂本壽男氏

―入り口の段差2段、高さ18cm
―店内への入り口幅は90cm
―トイレ入口幅59cmで引き戸(狭いですが小型の車椅子なら可能)
これは全国のバリアフリー情報検索サイト「ココロのバリアフリー計画」(外部サイト)に掲載されている、都内で103店舗、全国で318店舗を展開する串カツ田中の1号店である「串カツ田中 世田谷店」のバリアフリー情報の一部です(2023年12月現在)。店舗におけるバリアフリーの取組みについて、代表取締役社長の坂本壽男さんにお話を伺いました。

代表取締役社長 坂本壽男氏

バリアフリーへ取り組むようになったきっかけ

池田君江氏と坂本社長

シェアスロープ

大阪の伝統的なB級グルメでそれぞれの家庭やお店で秘伝の味を守ってきた串カツを専門に扱う串カツ田中の世田谷店は1号店として2008年12月にオープンしました。ここで、当時店長であり先代社長の貫啓二(現在は取締役会長)が、車椅子利用者で、NPO法人ココロのバリフリー計画理事長(先述の「ココロのバリアフリー計画」のサイト管理者)の池田君江さんと出会ったことから当社のバリアフリーの取組みがスタートしたと言っても過言ではありません。

来店された池田さんは、タクシーの乗車拒否、飲食店での来店拒否などで心が折れかけていて「ここのお店でも断られるかも」と思いながら「車椅子でも入れますか」と恐る恐る店頭で聞いたそうです。貫は初めての経験ながら「大丈夫ですよ!」と言って車椅子を押しながら「お客様が通ります」と席へ案内しました。テーブルや椅子の移動にスタッフだけでなく居合わせたお客様も一緒になって協力してくれた“優しいお店”と“優しい人たち”に感激した池田さんは、その後、常連客となってくれました。そこで貫は初めて車椅子生活の現状を知りました。それまで考えたこともなかった“バリアフリーを進めることの大切さ”に気づいた貫は、2店舗目の出店からバリアフリーを意識した店づくりを始めました。

一般的には、当社のような業態の飲食店における席数は売り上げに直結するので、1席でも多く取りたいものですが、当社はコストを商品やサービスに転嫁しないでできる“可能な範囲で対応すること”をモットーとしており、その他の業態においても店舗設計段階からバリアフリーを考慮することが標準となっています。一部の店舗では車椅子利用者、ファミリー利用者にも使いやすいようにトイレを広くつくっていますが、すべての店舗でバリアフリー対応ができているわけではなく、店舗によっては段差があったりトイレが狭かったりもします。そこはスタッフによる「ココロのバリアフリー」でのおもてなしで対応しています。

ココロのバリアフリー計画が開発した備品「シェアスロープ※(写真)」は2022年7月から店舗での使用を開始しており、毎年5店舗での導入を計画しています。これまでは入退店時にスタッフが車椅子を持ち上げるなどしていましたが、シェアスロープによって車椅子だけでなくベビーカーをご利用のお客様も入退店が容易になりました。
※本備品は車椅子利用者の外出のきっかけとなることを望んで開発されたもので、店舗間の貸し借りも期待することから名づけられている備品

池田君江氏と坂本社長

シェアスロープ

ココロのバリアフリーを実現するスタッフの存在

入り口の段差解消

当社は創業以来「串カツで一人でも多くの笑顔を生むことにより社会貢献し、全従業員の物心両面の幸福を追求する」という企業理念を掲げています。これらを実現するために、私が2022年6月に社長へ就任してからは、お客様への“おもてなし”を重点取り組みとして社内に展開しています。お客様への“おもてなし”は『美味しかったよ』『また来るね』といったお客様からスタッフへの感謝のフィードバック、つまり<精神的報酬>をいただくことに繋がります。それが働くスタッフのモチベーションややりがいをとおした成長に繋がると信じています。スタッフ及び店舗の成長は売上や給料増にも繋がる<金銭的報酬>となります。これが当社の経営理念の実現サイクルです。

当社は串カツ田中アカデミー(KTA)という教育制度があり、入社時には経営理念、企業の歴史、一般常識の他、クレーム対応の基礎やSNSの使用に関するガイダンスなどを座学で学びます。このなかに「バリアフリー研修」が組み込まれ「車椅子体験会」も行われています。これまで車椅子の操作をしたことのないスタッフも実際に体験することで、店舗での対応に繋がっています。
さらに当社は実際の店舗を“研修店舗”として、配属前の社員が実地で学ぶ仕組みがあります。インストラクターの元で「おもてなし」の精神、言動に触れ、体得し、それぞれのスタッフにしっかりと浸透している手ごたえを感じています。

入り口の段差解消

優しい店には優しいお客様が集う

先日も池田さんがご友人らと新宿3丁目の店舗に来店され、店舗のスタッフだけでなく居合わせたお客様も協力的で、優しさを感じることができたとの連絡をいただきました。私自身嬉しかったのは、外食をほとんどしない(できないと思っていた)車椅子利用のご友人の“外出の心理的な障壁”を取り除くきっかけとなっていると感じることができたことでした。

串カツ田中は現在、大人のための居酒屋としてだけでなく、ファミリー向けの飲食店という役割も担っており、ロードサイド店も展開しています。2017年に全席禁煙を実施したことによってファミリーの来店も増えました。またインバウンドによる外国人のお客さまも増えつつあり、英語でオーダーできるメニューやアプリの提供も始めています。当社は障害の有無に関わらず、様々な状況のお客様がいらっしゃることを理解し、おもてなしの心と言動でお応えし続けていきたいと考えています。

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